PRICE?

こう  2009-02-02投稿
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「さてと、このスイカはどうするかな。2個あっても仕方ないし、実家に送るか。」



…親父、お袋、元気ですか?久しぶりですね。知り合いからスイカを貰ったので送ります。こっちは元気でなんとかやってます。



「なんだ、ケースケからか。なんて書いてあるんだ?」


「知り合いからスイカを頂いたみたいよ。まあ、なんて素敵なスイカなんでしょう。」


「あいつも気が利くようになったな。さすがはオレの子だ。」


「自慢の息子ですね。2人だけじゃ食べられないからお隣にもおすそ分けしましょう。」



「…ちくしょう。送料で1000円も使ってしまった。まあ、2日分の食事代と思えば安いもんかな。」




「…しかし、スイカだけっていうのも飽きてきたな。さすがに腹にたまらねぇし。」
「面倒くさいけどまた探すか。」

ケースケはまた、いい仕事が無いか町を歩き始めた。




…なにかありそうな河川敷


…人が沢山いる市街地


…登山客が多い山の麓


…しかしどこに行っても、仕事が見つかるはずはなかった。


「今日は仕事探しはやめて帰るか。もう日も暮れたしな。」

「しかしたまにはいいもんだな。こうやって1日中歩くっていうのも。外にいる間は電気代とかもかからないし、ちょっとした節約だ。」


ケースケは早くなった夕暮れに急かされるように、足早に帰途についた。
時折、木々の間から覗く夕焼けが妙に赤く感じた。


ガチャ


「なんだ、またピザのチラシか、食べたくても金が無いから仕方ないだろ。」

「…ん?封筒があるぞ。なんだ?」




…ケースケ、スイカを送ってくれてありがとう。近所の方達にもおすそ分けして美味しくいただきました。元気でやっているみたいで安心しました。
近所の方がケースケにお礼を、とおっしゃってお金を渡されたので入れておきます。
たまには家に帰ってきて元気な顔を見せてね。




「…え?5千円も入ってるし。こんなにもらっていいのかよ。」

「なんか悪いなぁ…。」



少し冷えだしていた体が温かくなるのを感じたのと同時に、懐かしいあの日のことを思い出した。



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