小さな手

ふく  2009-02-02投稿
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小さな両手で僕の右手を優しく包む
柔らかくて少し冷たい
僕を見上げて
私が守るからと微笑む
その眼は強く僕を見つめる

君よりも大分年上なのに
君といると自然と少年の心を取り戻した様な感覚になる
こんなに笑った事があっただろうか
こんなに温かい気持ちになった事があっただろうか
こんなに恥じらいを忘れて泣いた事があっただろうか

君が強くいてくれるから僕は弱くなる
些細な悩みも愚痴も君はただ黙って聞いてくれる
時に一緒になって怒ってくれたり泣いてくれたり
だからいつも僕は軽くなれる
君だけが光をくれる
そう信じていた

もっと昔に君と出会えていたら
そしたら永遠だってあっただろうに

見送るのはいつも君だった
後ろめたさを隠せない僕の背中を押して笑う
じゃあまたって曇りの無い表情で手を振る

君はこんな僕の側にいて幸せなのだろうか
今すぐ君の元へ戻り
君を幸せにするからと約束が出来たなら

貰うものが多過ぎて
君を守れない自分を責めたりもする
だけど決まって君は
私が守るからと僕に笑いかける
その横顔が僕より大人に見えて
真っ直ぐに立つその姿が僕より大きく見えた

全てを犠牲に出来たらこんなにも苦しむ事はない
君以外は何もいらないと心から言えたら
こんなにも涙を流す事はない
次は君の小さな手をしっかり握って僕が君を包んであげられるのに

どんな小さな悩みでも
どんな些細な出来事でも聞きたいからと君が身を寄せる
君の肩を抱いて愛おしさが込み上げた

どんな形でもこの愛は失いたくない
心の底からそう思った
君の本心も知らずに
君の悲しみも知らずに
僕はずるい

きっと僕は何一つ捨て切れないずるい奴だ

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