魔物が住まう崖淵斜陽館。
今宵のお客様は『夕焼け』でございます。
お楽しみ下さいませ。
長く伸びた自分の影を踏まない様に、歩く子供。
夕焼け空に、向かって青っ鼻を拭いながら、赤い、ホッペを更に赤く染めて叫んでいる。
「明日も、晴れてけろじゃぁ〜」
今まで、散々遊んだ友達と別れて、家路を急ぐ。
「暗く成る迄、遊んでいたら駄目じゃない」と、ただいま〜の挨拶をする前に、怒られてしまった。
「おいで、お風呂で洗ってあげるから」
母親の愛情は、何時の時代でも変わらない。
子供は、マシーン洗浄オイルの中で、丁寧に母親に洗って貰った。
西暦3270年の家庭の風景である。人間がコンピュータに支配され全滅してから1000年後の事
母親「私の時より、より人間に近い、子供ロボットだけど、人工皮膚は、酸性に弱いのよね」
夕焼け空に向かい、晴れてくれ。
と叫んでいたのは、その為だったのです。
酸性雨では、外に出られませんからね。
人間から人間に近い、コンピュータによる、ロボットは、やはり人間と同じに成る様です。
如何でございましたでしょうか。
次のお客様は、貴方かも知れません。