――由紀
いま、気になる人がいます。
もう2度あんな気持ちになるのは嫌だったから、こんな気持ちになるなんて思わなかった。
2年前
『中村くん、わたし中村くんのことが好きです。付き合って下さい。』
『いいよ。』
それから3ヶ月は、幸せだった。あの日がなければ、別れることはなかったんだろうと思う。
『お〜い、中村お前いま、何人彼女いるんだ??』
『5人かな。女って、単純だよな。ちょっと金がないんだとか母さんが病気でとか言うとすぐ信じて、金くれんだよ。』
『怖い。怖い。天下の中村は恐ろしいなぁ』
放課後の教室で男子の話し声が聞こえ、悪いとは思いながらも立ち聞きしてしまった。
聞かなければよかったと、今さらになって後悔している。
『中村くん。それ本当??』
『げっ?!斉藤いたのか。冗談に決まっているじゃないか。一緒に帰ろう。』
『中村くぅーん。一緒に帰ろう。...この女、何??』
『み、みか?!えっとその...。』
バッチーン
『え??斉藤??』
『嘘つき!!もう中村くんなんて、知らない』
バタバタ
騙された。騙された。中村くんは、やっぱりわたしのことなんて、好きじゃないんだ。
おもいっきり、はたいちゃったけど、どうしよう...。怒ってないかな??
あんな人だと分かっても、わたしはまだ中村くんのことが好き。
あれから、2年たった。今は、もう中村くんのことは好きじゃない。あの日から話をしたことがない。
もう男の子なんて、好きにならない。また、騙されるだけだから...。
でも、あの人はなんだか信じれる。まだあんまり話をしたことがないけど、あんなふうに頑張っている姿が素敵で他の男子とは雰囲気が違っていて、わたしの心を動かした。
好きです。あなたのことがこんなにも。
先輩...
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