教室へ戻ると、
顔面蒼白で、ユカがあたしと聖人のもとへ駆け寄って来た。
『奈央ごめん!!
あたし、しくじったぁ〜!!』
気のせい?!
ユカってば、心なしか涙目になってない???
『どうしたのユカ?!顔色悪いよ???』
教室内の空気は、
あたしが抜け出す前と何ら変わりなく、
渋川がいないのをいいコトに、みんなそれぞれ勝手に盛り上がっていた。
特に何も変わった様子は無い。
『‥‥奈央の種目さ、“スウェーデンリレー”になっちゃった。しかも第3走者。』
ユカの言葉に、思わず絶句してしまった。
『‥‥“スウェーデンリレー”の第3走者?!あたしが?!』
あたしの声の大きさに、聖人は思わず吹き出した。
『ハハハハハ。
第3走者っつーコトは、奈央の走る距離は300mだよな?!』
『う、うん。どうしよう。あたし300m走りきれるかなぁ。』
スウェーデンリレーって、100m、200m、300m、400mの計1,000mを4人で走るリレーのコト。
『奈央、マジでごめん!!ちなみにあたしは“騎馬戦”。
しかも騎手役。』
『えぇ?!マジかよ秋田谷?!うちの学校、“騎馬戦”出るのは男だけだろ?!』
あたしの“スウェーデンリレー”の第3走者に驚いていた聖人は、
ユカの“騎馬戦”の騎手役に更に驚かされたみたい。
『今年から男女混合でやるコトに決定したんだってサ。』
ため息混じりにユカが言った。
『“騎馬戦”はコワイよね。あたしの“スウェーデンリレー”の方がまだましかも。ユカ、頑張ってね。』
『奈央もね。300mはキツイから覚悟しておかないと!!』
『ふぇ〜ん。あたし走りきれるかなぁ。すごく不安。』
『あたしだって“騎馬戦”出たくないよ。“騎馬戦”出てる男子って、すごいコワイじゃん。目がイッちゃってるもん。』
はぁ〜、とにかく体育祭なんてモノを考えたのは、どこの誰かは知らないケド、
分かってる?!
あたしの様に運動音痴な者にとっては、ゆううつな行事なんだってコト。