次の日の夕方、公園のベンチに座ってる。私の前には小さな砂場と鉄棒がある。空はきれいなオレンジ色だ。
「ごめん。別れよう。」
さっきマサノブ君に言われた言葉が頭の中をグルグル回る。
「…わかった。」
マサノブ君の顔も見れずに下を向いてそう答えるのが精一杯だった。
何もわかってないくせに。
マサノブ君はそのまま去っていってしまった。
フラレてしまった。泣きたいのに涙も出ない。何も考えられない。
後ろに立っている木の蝉の声がひどくうるさい。
「………なんで…」
フラレた理由も怖くて聞けなかった。聞いたところでうまく自分で受け入れることも出来なかっただろう。
「こんなの付き合う前に戻っただけやん…」
現実を受け入れたくなかった。
早く家に帰って寝よう。もしかしたら目が覚めたら全部夢かもしれない。
でも眠ることが出来なかった。
その代わり、声が漏れないようにタオルケットを顔に押し当てて泣いていた。
初めての恋があっと言う間に終わってしまった。その理由もわからないまま。
夏休みが終わるまで、私は毎日マサノブ君を思い出し、そのたびなんでフラレたのか考えた。
いくら考えても答えがわからず、「私に飽き、嫌いになった」のだと思うようになった。
そう考えるとだんだんマサノブ君が憎らしくなってきた。
「もう忘れよう。あんな人…。受験勉強に専念しよう。」
そう思うようになっていった。
もうすぐ夏休みが終わる…。