「あの二人夏休みに別れたらしいぜ!」
「平井君からフッたんでしょ?」
「何それ、最低!」
夏休みが終わると学年中に知れ渡り、マサノブ君はみんなからバッシングを受けた。しかし、1ヵ月もすると誰もそのことについて話す人はいなくなった。
未だに引きずってるのは私だけだ。
廊下で会うことも滅多になくなった。いまさらながらマサノブ君が積極的に会おうとしてくれていたことにやっと気づいた。
今では廊下でたまに会ってもお互い目も合わさない。でも私は今だに話しかけてくれるんじゃないかと期待してしまう。
フラレた後に片想いしてる。バカみたい…。
だけど忘れられない。
秋の体育祭では遠くからマサノブ君がリレーでアンカーを走ってる姿を見てドキドキした。
冬の帰り道では少し前を歩いてる男子たちの中にマサノブ君がいて、後ろを振り向いてくれるんじゃないかとバカな期待もした。
3学期に入り、休み時間に廊下に出ると、廊下でマサノブ君が紙ボールで野球をしていた。その隣をジャマにならないように通ろうとしたらいきなり背中に紙ボールが当たった。マサノブ君はバツが悪そうに「ごめん」と小声で言った。
私はもっと心配されると思った自分が恥ずかしくて何も言わずに走って逃げた。
「何をこんなに思い上がってるんだろう…」
こうやって中学最後の年が過ぎていった…。