「最終戦闘兵士」戒律。
功名ごときもとめず、ただ路傍に屍をさらすべきをもって、日本の捨て石として果つるべし。
破壊殺傷の謀略に通じ、駆使するなかにこそ、至誠に徹すべし。
人に接するに人間味豊富にして、自己を修むるには神のごとき修練をなすべし。
命あるかぎり、国あるかぎり、血統の続くかぎり、ただスメラミコトとヤマト守護の任にあたるべし。
我々は皇国における最終の戦闘兵士であり、我らのあとに国はなし、と知るべし。
「最終戦闘兵士」 そんな部隊はどこにもない。
編成すらされていない。 しかし、「彼ら」は存在してきた。
太平洋戦争はおろか、日露戦争、さらに幕末、キリスト教伝来、元寇、常に国難の際において、最後の砦として存在してきた。 有史以来、世界に戦乱のない時代はない。
その時々に軍事力を用いるか、用いないか、だけの差である。
太平洋戦争の終戦は、単に攻撃を、爆弾から政治に替えただけの、新たな開戦であるとした「彼ら」は、最終戦闘を発動した。