〜現在〜
「以上で卒業式を閉会します。」
卒業式が終わり、みんな体育館の外で写真を撮ったり、泣いたり、笑ったりしている。
みんな名残惜しそうだ。
「ユキ!写真撮ろう!…あ、タケだ!ちょっとユキ待ってて!」
相変わらずエリとタケ君はラブラブカップルだ。
私は体育館の壁に一人でもたれて、人だかりを遠めに見ていた。
マサノブ君がみんなと写真を撮ったり、話したりしている姿も見える。
私は無意識に自分のカメラを構えた。
その瞬間ファインダーの中のマサノブ君がこちらを向いた。
私は慌ててその場から離れて人影に隠れて逃げた。
「…びっくりした」
心臓がドクドクしている。息が苦しい。涙が出そうになった。
「あ、エリ…まぁ、タケ君と一緒だしいっか。」
先に教室へ戻り、ベランダへ出た。ここからも体育館の人だかりが見える。
「ぷっ…、後であやまろう。」
エリがキョロキョロしながら私を探している。タケ君もエリの後ろで誰か探している。きっとマサノブ君だろうなと思って、見晴らしの良いベランダからマサノブ君を探そうとしたが見つからない。
「あれ?さっきまであそこにいたよね?」
「……俺のこと?」
突然背後からマサノブ君の声がした。