God's Arms

こぅ  2009-02-04投稿
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照りつける夏の太陽の下。郊外の廃屋。
血と苦鳴の蠢く山の頂きに俺は座っていた。
「…っ…がっ…ぁ」
周囲から血と嘔吐の臭気が漂い、苦痛に喘ぐ人間が12人倒れていた。
その中心から俺は一歩また一歩と歩きだした。
そして奥の暗闇に倒れる男の元で立ち止まる。
そいつは右手に携帯を握り、恐怖と憎悪の瞳、そして若干の笑みという矛盾した顔で俺を見上げる。
次の瞬間、そいつは顔に薄汚い笑みを浮かべ、俺に叫びかける。
「さっきまで、この携帯で何をしてたか解るか?てめぇをぶっ殺すために仲間を呼…っぃぎゃあぁあぁぁ!!」
最後まで聞かず、携帯ごと、そいつの右手を踏みつけた。
甲高い絶叫が頭に響く。
俺が何人か相手をしている内に仲間に助けを求めたのだろうが、戦闘している状況でも俺に気付かれないように電話ごしに現在位置を正確に伝えるのはまず不可能だ。
10秒後ろで携帯を使えば、嫌でも俺の目に入る。
つまり敵の追跡方法はGPSの利用。
奴は恐らく、GPSで辿って来てくれ、ということを伝えただけだろう。
「大して力は込めていないが?あぁ、携帯の破片でも刺さったのか?」
俺は問いと同時に足をどける。
手は少し赤くなっただけ、携帯は若干壊れていたが、手に刺さってはいない。
単にコイツがクズな小心者なだけだった。
もう既に目的の物資は回収したし、用はない。
オレは床に転がっていたアタッシュケースを持ち、屋外に泊めた愛車のインパラに乗る。
助手席には、長い銀の髪に凛々しい顔を持つ男がいた。
「長かったな。やはり蛆虫を踏み殺すのにも全力で20分かかるお前だな。」
「黙れ。IQ.16のお前に言われたくない。喋るな。耳障りだ。動くな。目障りだ。」
俺はそのままエンジンをかける。かからない。かける。かからない。かける!かかったぁ!!
俺はさぞかし満面の笑みを浮かべていただろう。
「にやけるな。お前が笑うと世界中が泣く。」
即座に笑いが消失。
俺はケースを後部座席に押し入れる。
後部座席には、小型自動小銃2丁にハンドガンが3丁。手榴弾が12に弾丸が大量。そして刀が二本に大剣が一本。以上、異常。
まぁ仕事柄しかたない。
前に向き直り、ミラーを見た。俺が写っている。
横にいる男程ではないが長めの金髪。顔はまぁまぁ、だと思う…
と無駄な思考を巡らしつつ、車を発進。
目的の場所へと向かう。

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