前を向いて。

まーさ  2009-02-05投稿
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なんで…こうなったんだろう。

ただ楽しく毎日が過ぎていってると思ってた。
同じ時間を。一瞬、一瞬を共有して流れている時間を幸せに感じていたのは俺だけだったのかな?


いつものようにバイトから帰ってきて、俺とお前と子どもと3人で、いつも通りに。
裕福とは決していえないけど、ささやかな温かいその幸せな時間をいつも通りに今日も送れるもんだと思ってた。


秋めいてきた季節の夜、バイトからの帰り道。お前の好きなシュークリームをお土産に買って。
いそいそと歩く俺。「子どもが生まれてから2ヶ月だし。大変な思いを毎日させちゃってるし。こんなんだけど喜んでくれるかな?」
なんて、ニヤニヤしながらなんて周りからみたら気持ち悪がられるな。

そんなコトを思いながら家に近付いてく。
聞き慣れた泣き声……(うちかな?相変わらずデカい泣き声)

それまでは今までとは変わらなかった。その時までは。

ん?部屋が暗い……。

慌てて駆け出す俺。電気がついてない!なんで?

鍵を開けて急いで電気をつける。
泣いてる子どもに、サッパリしたような部屋。

俺の手からポタポタとこぼれ落ちていく平凡な幸せ。昨日までのあの時間。


頭は真っ白になった。だけど、胸は熱くバクバクと波うってるのがわかる。

なんだコレ。


取りあえず、泣き止ませないと。


子どもを抱きかかえ、ヨシヨシと背中をポンポン叩く。

そんなコトしながら落ち着きたかったのは俺の方だ。

どういうコト?家を出てった…?なんで?

子どものオムツを変え、ミルクを飲ませ、なんとか泣きやませれた。


お腹空いてたろ?寂しかったよな?ごめんな…こんな気持ちにさせちゃって。

どっかに出かけたんだよな。何かあって帰り遅れてるんだよ。

俺はそう思った。思うようにした。

ゆっくり、ゆっくり落ち着いてきてこみ上げてきたのは怒りだった。
子ども残して出かけるか?ありえねーだろ!
携帯を取り出し電話をかける。
「ただいま電話に出ることができません。」
何度もかけ直すけど、出る声は事務的な留守番のメッセージ。
明日また電話しよう。帰ってきたらキツく言わないとダメだな。

子どもを寝かしつけて、明日のバイトに備えて寝ようと思った。

明日帰ってきたら…俺はこの夜。あいつが帰ってくるものと考えて寝についた。
帰ってくる。そう思いながら。



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