1.容疑者
牧刑事「轟刑部!この事件は、どう思われますか?」
轟刑部は黙ったまま暫く考え込んでいた…
誰も居ないはずの部屋に人影…それも…たまたま車のライトが窓に当たった時に人影が見えたような気がする…と伊井 香 は言っていた…彼女が嘘を付くだろうか?…
通常では考えられない事だ!アパートの2階の窓に車のライトなんか当たる訳がない!確かに季節的には夕方5時半を回れば暗くなって車もライトを点けるだろう!それに鑑識も部屋を荒らした形跡は無かったと言っていた…分からない?!人影が嘘だとして!伊井 香 は、そんな嘘を付く必要が有ったのだろうか?!いや無いと思う…それなのに何故?!
そう思ってる間に車は警察署に着いた…
轟刑部「伊井 香 は監視する必要が在りそうだ…」
と牧刑事に言った!
牧刑事「はい!そうですね!私も、そう思います!」
と言って2人共、警察署に入って行くと…調度、鑑識が駆け寄って来た!
鑑識「轟刑部!調度よかった!あのアパートの火災の遺体なんですが…アルコール以外は検出されないんですが…後頭部を殴打されたような形跡が…」
轟刑部「なぁ?!なに?!後頭部を殴打?!それは本当か?!」
鑑識「はい…そうなんですが…それが…致命傷ではないんです…」
轟刑部「??…なんだ?!どう言う事なんだ?!」
鑑識「はい…殴打って言っても軽いもので…脳震盪を起こす程度のものなんです…でも、それが誰かに殴打されたものなのか?誤って転んで出来たものなのか?分かりませんが…」
と言って鑑識は立ち去って行った…
これで、また一つ疑問が増えた…と言った表情で轟刑部と牧刑事は暫く立ったままだった…
後頭部に軽い打撲…それなら女性でも簡単に出来る…と轟刑部は考えていた…
でも、そんな事を伊井がするのだろうか…
牧刑事「もう一度、伊井に話しを伺いに行きませんか?」
轟刑部「それはダメだ…時間も遅いし…まだ情報も少ない…それに、あの遺体が本当に安野なのか?安野に家族や身内は…?」
牧刑事「そうですね!大至急、調べます!」
轟刑部「今日は、もう遅いから明日にしよう…」