「俺のこと探してる?」
マサノブ君が目の前にいる。私は恥ずかしくて、なんで居るのかわからなくて頭が混乱している。
頭の中に心臓があるみたいにドクドク聞こえる。
「…タ…タケ君が…」
なるべく自然に話そうとするけど、うまく話せない。
「タケが探してんの?」
顔なんて一瞬しか見れなかった。コクリと頷いた後はベランダの手摺りを握り体育館を見下ろした。
「…ふーん。あ、ホントだ。タケのやつキョロキョロしてる。」
マサノブ君が私の隣に来て手摺りに肘を付いてる。
なんで!?なんでここに居るの?もう何ヵ月も話してないのにどうしてそんなに自然に話せるの?何しに来たの?
私の頭はパンクしそうだ。胸が苦しくて逃げ出したい。ベランダの柵から離れ一歩後ろに下がろうとした。
「あのさ…。」
マサノブ君が体育館の方を見ながら話し始めた。
「付き合ってたときなんだけど…、ユキちゃんさー。ユキちゃん、ちゃんと俺のこと好きだった?」
そう言い終わるとマサノブ君がゆっくり私の方に向き直った。
頭の中はとっくに真っ白だ。