私は何も言えなかった。私は桜を、普通の女の子と見ていた事に気付いた。
そうだった、彼女はいつ死ぬかわからない身体なのだ。それなのに私は、連絡をよこさないなどと、普通の人として見てしまっていたのだ。じいちゃんの言葉で、桜の現在の身体から、元気な身体に戻すようにするのが、私の役目なのだと理解した。
いつ終わるかわからないけど、桜の笑顔をずっと見ていたいから。その気持ちだけは貫かなければと決意し、再び病院に走りだしていた。
面会時間はギリギリだったが、息を切らしながらも桜の部屋に入ると、桜は横にうずくまり泣いていた。
「桜!」
私が名前を呼ぶと、
「大和……君」
泣きっぱなしだったのか、ボロボロになっている。
私は桜に自分の気持ちを話す。
「桜、ゴメンナサイ。俺、勝手な事ばかり言って、桜の身体の事をわかってるつもりでわかってなかった。桜の気持ち考えないで、俺の気持ちだけ押し付けてた自分が悪かった。だから、今後何があっても桜を責めない。桜の笑顔をずっと見たいから、桜の事が誰よりも好きだから」
私は必死に桜に伝える。
「や、大和君」
名前を言いながら私に抱きついてくる。