疲れきっているのも忘れて走った。
そして、ついに森に着いた。
そこには見たことのないくらいおいしそうな木の実がいっぱいあった!!
これならかあさんも絶対に喜んでくれる!!
夢中になって拾っていると
ガサッガサと何かの足音が聞こえる。
動きを止めて音のするほうを見てみると
きつねだ!!!
あまりの恐怖に全身が震え上がる
動けない
このまま僕に気づかないで通り過ぎてくれ!!!
そう願った時たくさん抱えていた木の実のひとつが落ちた
気づかれてしまった
よろよろと近づいてくるきつね
なにやら歩きづらそうに
よく見てみると左目を怪我している
僕はピンときた。とうさんを殺したのはこいつだ!!!!
村で一番強かったとうさんがあっけなく食べられてしまうわけがない!!
とうさんはこいつと戦ったんだ!!!
僕もこいつと戦う!!!
普段では考えられないことが起きている
みんなにいじめられている弱虫の僕が今、だれもが恐れるきつねと戦おうとしている
どうやらこいつはとうさんのおかげで左目が見えないみたいだ
僕なら出来る!!!
だって僕はとうさんの息子だから!!!
小さな体をいかしてゆっくりと左側に隠れる
きつねが僕の姿を探している
そのすきにきつねの頭の上めがけ飛んだ
暴れるきつねに振り落とされないようにしがみつき
右目を踏みつけそのまま落ちた
逃げていくきつね
勝った。
勝ったんだ!!!僕はきつねに勝ったんだ!!!!!!
普段では絶対に考えられない力がみなぎっていた
きっと、とうさんが僕を助けてくれたんだ