……あけましておめでとう!!今年もよろしくお願いします。
「はい。お年玉。」
「やったー。ありがとう。」
「お母さん、千円もらったよ。貯金しといて。」
「(千円かぁ。)お母さん、今年のお年玉も貯金しといて。」
「5千円もらっちゃった。お母さん、貯金しといて。もう結構たまってるでしょ?」
「1万円ももらえた。何に使おうかな。」
「今年も1万円もらえてよかった。お年玉も今年で終わりか…。」
もう、あれから5年。
<もらう側>から<あげる側>へ…。
家に帰ることは稀で、親戚の子はまだ小さいため、あげたことはない。
しかし、いつかは必ず<あげる側>の人間になる。
「そういえば、人からお金をもらうなんていつぶりだっけな。仕送りはまた別の話になるし、かれこれ5年近く経ってるんじゃないか?」
「お金をもらうことがこんなに素晴らしくて尊いことなんて知らなかった。1円たりとも無駄に出来ないんだな。」
「うわー。かわいい。赤ちゃんってこんな顔をしてるんだね。無事に生まれて安心しました。」
「ありがとう。とってもかわいいでしょ。」
「名前は決まってるんですか?」
「ええ。誠実でしっかりと自分を持った人間にほしいから、誠太にしたわ。」
「誠実で太い芯を持っている…。いい名前ですね。」
「ありがとう。ケースケのことをお兄ちゃんのように慕ってくれると嬉しいわ。」
「そんな…。悪い手本にしかなりませんよ。」
暖かい春の風が運んできた新しい生命。
小さな体のなかでゆっくりと脈を打つ生命。
4kg足らずなのに、両腕で抱えきれないほどの重さを感じた。