――空
『先輩、先輩。大丈夫ですか??すいません、俺が練習に誘わなければ．．．。』
どーしよ。どーしよ。俺が無理に誘ったから、先輩熱ある。
俺のせいだ。
『そんなに心配しないでいいよ。今日は、もう帰ろうかな。そういえば、今日思ったんだけど』
また、あのセリフかぁ。先輩にまで言われちゃうよ。
『稲葉くん今悩みあるの??』
えっ?!
『演技初心者のわたしが言うのもなんだけど、演技に雑念がある気がするな。突然ごめんね。』
いつものセリフじゃない。先輩って、失礼だけどいつもボケーとしていて、何も考えていないと思っていたけど．．．。
『先輩、エスパーですよ。正解。確かに今悩みがあります。』
ドキドキ
何なんだこの感じ。初めてこんな会話したから、緊張しているのか．．．。
『じゃあ、お疲れ様。また明日。』
『さっ、さよなら。』
うぉぉぉ。何????????
今まで先輩と話す時こんな緊張したっけ。
もしかして恋??恋かな???
こういう時は、亜紀に聞いてみよう。家に帰ったら聞いてみよう。
《空の家》
『ただいま。』
『じぃや!!じぃ!!』
『お帰りなさいませ。空ぼっちゃま。』
『亜紀いる??』
じぃやは、俺が生まれる前からこの家に仕えている執事だ。
主に、俺の身の回りの世話、そして亜紀との連絡を仕事としている。
『はい。亜紀様は、奥の部屋にいます。奥様と旦那様は、今夜食事会でお帰りが遅いそうです。』
『分かった。ありがと。』
『亜紀!!』
扉を勢いよく開けた。
『びっくりしたなぁ。どうしたのお兄ちゃん??』
かくかくしかじかと亜紀に今日の放課後起こった事を全て話した。
『そっかぁ。ようやくお兄ちゃんにも運命の人ができたんだ。うふふ♪』
『う、運命の人??』
『そーだよ。その岡田さんに、お兄ちゃんは恋したの!!』
恋、恋、恋．．．。
俺明日キスシーンがある。このままだとまともに、先輩と演技できない。
『明日キスシーンあるんでしょ??フリじゃなくて、本当にしちゃえば??』
『そんな事できるわけないだろ。』
『まっ、明日頑張ってね♪お腹すいたし、ご飯たべよ。ばぁや、ばぁや夕ご飯の準備はできた??』
先輩に恋しちゃった。
俺の初恋は、ゆき先輩
次回→shape 16
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