プロローグ
私がまだ小学五年生の時、事故で両親を亡くしました。
まだ幼かった私は、そんなことを受け入れられずに、従兄弟の所へ連れて行かれました。
「…沙悠」
「お母さん、どこに行くの?」
「お父さんとお母さんはね、少しお出かけして来るからお留守番しててくれる?」
「うん、わかった」
悲しそうな顔をして、玄関を閉めるお母さんに、心配そうなお父さん。
…なんでだろう。
どうして…、嫌な予感が当たってしまったのだろう。
あの時、引き止めてあげればあんなことにはならなかったのかな…。
「沙悠ちゃん!!今ね…」
おばあちゃんと親戚のおばさんが、涙ぐみながら私に伝えた。
「お父さんとお母さん…亡くなられたって…」
「え…?」
信じられなくて、でもどんどん涙が溢れてきて、いつの間にか床に崩れていた。
「沙悠ちゃん、今ね…知り合いの人が来るからね…」
何となく分かっていた。
私はここにいられないことくらい。