――魔法使い
これは、魔法使いの僕が、ある少女の人生を変えたお話。
そして、少女が魔法使いの僕の人生を変えたお話。
今から300年以上も前のこと。あの頃の僕は、まだ見習い魔法使いでよく師匠から叱られていました。
あの日は、師匠の部屋を水浸しにしてしまって罰として1週間人間界の森で野宿をすることになりました。
普段僕たち、魔法使いは人間が住む人間界とは別の魔法界に住んでいます。
見習い魔法使いが人間界に行くと魔法が使えなくなるのです。僕は、地獄に落ちたような気がしました。
人間界のことなど何も分からない僕は、1日中森で泣いていました。そこに、ある少女が現れました。
『どうしたの??お腹痛いの??』
『怖いの。』
『迷子なの??』
『違うよ。野宿』
『夜の森は、危ないよ。わたしの家に来る??』
『怒られるから..』
『ちょっと待ってて。』
少女は、走ってどこかに行ってしまいました。
その少女は、薄汚れた服を着ていて、顔には灰がついていました。
『お待たせ。はい、これ野宿セット。』
『...ありがとう』
『明日もくるね♪』
そう言って少女は、また走ってどこかに行ってしまいました。
それから1週間、少女は毎日僕に会いにきてくれました。
野宿7日目。
僕が、帰らなくてはならないことを少女に告げると、少女は泣き出してしまいました。
そこで僕は、少女に赤い石をあげました。
『ずっと名前聞いてなかったね。僕は、魔法使いのフィン。君は??』
『シ、シンデレラ』
『シンデレラ。それは僕とシンデレラとの友情の証。いつも肌身離さず持っていて。そうすれば、奇跡はおきるよ。』
『分かった。ずっと友達だよ。』
『バイバイ』
そう言い残して僕は、姿を消しました。
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