「うそ、うそ!!!!」
ぐったりとしたケヴィンの腕を目の当たりにしたマリアは頭が真っ白になった。 ケヴィンの苦痛の叫び声が辺り一面に響き渡る。
「あああああああっ!!」左腕を失った傷口から、痛々しく血が流れ続けている。
「やめろ、やめろ!!!」へたに動けばケヴィンは死ぬ。そういうことなのだろう。ウィルはどうすることもできない。
「うぅ、…ぐっ……」
ケヴィンは涙を流しながら意識を失ってしまった。マリアは地面にひれ伏し吐いた。
ウィルの心臓が焦りとともに高鳴る。
(オレはまた…目の前の命を助けようとすることすらできないのか…!!!)
「お前は何がしたいんだ…!!なんのために…!!」クリスは嬉しそうに答えた。
「そうね…。楽しいからかしら。あなたのその顔、最高よ?」
「なっ、なんだと?!」
「こんな虫けらみたいな命一つで、人は身動きできなくなるんだもの…。不思議だわ。あなたにとってこの子はなに?赤の他人でしょう?わからないわ、わからない…。まあ、だからおもしろいのよね。」
血が頭に上っていくのが自覚できるくらいウィルは熱いと感じた。