(こいつ……フィオナさんの人格なんて欠片もねぇ。それどころか人の心すら…。でもフィオナさんは、あいつの中に……)
「………フィオナさん!!聞こえるか!!??」
ウィルはクリスの奥に呑み込まれたフィオナに呼び掛ける。
「無駄よ。言ったでしょう。あの女は今はここにはいない。いるのは私という人格だけよ。」
クリスの笑みは一変し、ウィルをにらみつけるようにして言った。
「フィオナさん!!!!フィオナさん!!!!!!」ウィルの声はかすかな空気の波となり、クリスの奥へと響いていく。
「フィオナさん!!!!」