「っ………!!!」
突如異変が訪れた。今まで余裕の笑みを見せていたクリスは苦しみはじめたのだ。
左手につかんでいたケヴィンを振り落とし、両手で頭を抱える。
「あの女…!!私に楯突くのか!!!」
そのままクリスはふらふらと歩き回り、低い声でうめいている。
「くそ……やめろ、やめろ……っ、あの女……!!!!」
「フィオナさん!!!!」ウィルはもう一度名を呼んだ。
そのとたん、クリスは怒りの形相でウィルに飛び掛かった。その時に起こる羽の摩擦音が、ウィルをまた苦しめる。
そのわずかな隙が、
ウィルに危機を生んだ。
クリスの鋭い爪が、目の前に見えた。
その時。
ガッコン!!!!
「っ!!!!」
大柄な銀色の男が、クリスにのしかかってきた。
あまりの重さで、地面に穴があきクリスは完全に埋まってしまっていた。
「アレン!殺しちゃだめだよ!」
ウィルはその光景に目を疑った。銀色の男の後ろから、バイクや古びたオープンカーに乗った何十人ものノイザーたちがやってくるのだ。
そしてその先陣をきるのは、バイクに乗って大きな銃を構えたきゃしゃな青年、ジャズだ。