少しでも一緒にいたかった
『じゃあ俺あっちだから此処で』
立ち止まった貴方の顔を見上げた
こんなにも愛おしい
『バス停まで送ります』
これが今の私の精一杯の勇気と愛情表現
『いいよ、すぐそこだから』と断る貴方に
『送りたいだけですから』と答えた
少しは可愛く言えただろうか
ただ必死だったから
このまま別れるのは辛過ぎるから
貴方は私の言葉に『ありがとう』と優しく笑ってくれた
そんなに上手くはいかないものだなと落ち込んだ
バス停に着くと同時にバスが到着する
もっと話したい事もあったのに
もっと二人の時間を感じたかったのに
『パスタ、必ず連れて行くから』
そう言い残してバスに乗り込んだ
『はい』と答えた声が少し震えた
『行かないで』と心の中で呟いた
見送るのはやっぱり辛い
去って行くバスを見たくなくて背中を向けた
素敵な時間を過ごした
最後に私に約束を残してくれた
なのに希望よりも孤独を感じるのは何故だろう
ただひたすら下を向いて駅へと向かった
今日は貴方の事を考えて眠れないのだろう
貴方とやり取りした言葉一つ一つを思い出しながら歩いた
明日会社で会ったら笑顔で挨拶をしよう
一人になると何だか恥ずかしさで一杯になった
少し強引な行動に私の想いを悟られた様な気がして
でも気付いてくれたらいい
貴方が迷惑に思うか
嬉しいと思ってくれるかは分からないけれど
私の勇気が届いてくれたならそれでいい
今別れたばかりなのに
明日なんてすぐに来るのに
また貴方に会いたくなっている