「それと…移動した場所も判明したのですが…」
ライスはそこで言葉を切って、渋い顔をしながらぽりぽりと頭を掻いた。
「…どうしたのだ?ライスよ。どこかまずい場所にでも移動していたのか?」
「はい…実は、エリグラム砦へターンしたようなのです…」
「なんじゃと!?」
「!?」
「!」
リグラ、アリネス、ルークの三人は驚いて目を見開いた。
「何という事だ!あそこは既に、奴らとの戦いの場になっているかもしれぬというのに!どうしてそのような場所へ…」
「…ロザラム…ではないですか…?」
ルークは首を傾げながら、呟くように言った。
「ロザラムじゃと?」
「恐らくターンした者は、ロザラムを餌に五人をそこへ向かわせたのではないかと…。例えば『ロザラムが殺されそうだ』等と言って姉妹を刺激すれば、行かないという選択肢は簡単に無くなりますからね」
「なるほど…しかし、彼等をあそこに向かわせるメリットは無いのではないかと思うのだが…」
「そうですね。ここまで状況がはっきりしてくれば、彼等を始末しても意味がありませんし」
リグラとルークは厳しい表情をしながら、一つ大きく息を吐いた。
「…とにかく、ラト殿達の連絡を待つより他は無いの…」