運命ノヒト…そんなものが存在するのならきっと私にとっては尚ちゃんだよ。
私が尚ちゃんと初めて会ったのは二十歳の冬だった。
バイト先の休憩中、ふと喫煙ルームを見ると尚ちゃんは一人でタバコを吸っていた。
カッコいい…完全に一目惚れだった。
一瞬…目があったけど、私はすぐに視線を外した。
私は先に休憩していた友達に彼が誰なのか聞いた。
「あぁ、西野さん」
「知ってるの?」
「大学一緒だから」
「へぇ…」
私は興味なさそうに生返事をした。
だけど友達は察した様に
「あんまオススメしないな」
「何言ってんのよ」
私はちょっと焦った。
「いるみたいだよ、彼女」
「いそうじゃん」
私は気にしてなさそうに答えた。
「しかも年上だって」
「へぇ…」
西野尚輝こと尚ちゃんは私達の3つ上らしい。
その尚ちゃんより年上…大人の女かぁ。
「まっ、モテるしコンパ頼むにはいいかもね」
「遊んでそうな奴は苦手なの」
私がしかめっ面をすると友達は笑っていた。
背が高くて、整った顔立ち
ふんわりパーマに自信ありげな大きな口
細い腰に広い肩
タバコを吸っている姿から男の色気を感じる。
好きになったら苦労しそうな気がした。