フワフワとあちこちに跳ねた茶色で襟足だけ伸ばした髪を風に靡かせて眠る小さな子供の名前は春風好美(はるかぜこのみ)
その小さな子供の周りに2つの影が
「好美、起きてください」
金色の長い髪を額の真ん中から分けた誰が見ても『綺麗』か『カッコいい』としか言えない青年が好美を揺さぶる
「寝ててもいいが、風邪引くぞ」
意地悪く笑い好美の鼻を摘まむ、黒い短髪を跳ねさせた男
彼も『カッコいい』と思える男だった
だが、その2人の背中には人間にはないモノが付いていた
「んん、ランちゃん…レンちゃん……おはよう」
そんな中、目を覚めた好美は2人を見てフッと笑った
「おはようございます」
『ランちゃん』と呼ばれた彼の背中には白く鳥のような大きな翼があり、名はラングエル
ラングエルは天使である
「やっと、起きたか!さっさと帰るぞ」
『レンちゃん』と呼ばれた男の背中には黒くコウモリのような大きな羽があり、名はレンタントという
レンタントは悪魔である
この国では人間一人ひとりに天使と悪魔が付くこととなっている
人間の心次第では天使が強くなったり、悪魔が強くなったりするのである
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