俺と彼女―――シーラは確かに出逢っていた。
俺には、威厳ある父と優しい母と、歳の離れた弟がいた。
貧しいけれど、幸せな家庭だったんだ。
だけど、そんな幸せがいつまでも続くなんて事は、この不公平で理不尽な世界ではあり得ないんだって事を俺はその頃、知らずに過ごしていた。
事の起こりは、弟がサントラーセットのアレフォールとかいう奴に呼ばれたことだったと思う。
何かに協力をして欲しいとかで、迎えの奴等に連れられて弟はサントラーセットに向かった。
弟は
その姿のままでは帰って来なかった。
そう、『その姿のまま』では。
弟が発って数日した頃、俺は二人の人物に出逢った。
一人は、山奥に住む年老いたドワーフで、父のように頑固な変わり者の鍛冶屋だった。
俺は事あるごとにその山奥に通い、父のように慕っていた。
彼女と出逢ったのは彼に逢うより少し後で、彼女には不思議な魅力があった。
俺は、すぐに彼女に惹かれていった。
彼女と出逢って何週間か経った頃、弟は家に帰ってきた。
変わり果てた姿で。