トイレの外から、誰かの会話の声が聞こえる。
「でもさー、こないだ調子悪くてさー、酸っぱいもの飲んで吐いたら、ゲロが超酸っぱいんだよねー。」
「ゲー、汚ねーんだよ。キャハハハ」
奈美は耳を塞いでうずくまってしまった。
偶然が何度も続く?
いく先々であたしについての話がされる。
あたしが狂ったの?
やめて!
何!何なの?
頭が壊れる!
奈美は暫くして、真っ青な顔で早退を申し出た。
担任は心配した顔で、早く帰宅するよう促した。
奈美は通学に使う電車に、乗り込むと、空いてる席に倒れこむように座った。
車内は立っている人がまばらな位の乗車率だったが、奈美の前に会社員風の男が立ち新聞を開いていた。
男は新聞を折り返し、いつまでもめくらず、同じ面を見ていた。
奈美は、ふと顔をあげ、新聞に目がいくと、血の気がうせた。
「高校生また自殺、発作的か」 の見出しが目に入る。
奈美は思わず車内を見渡した。中吊り広告の週刊誌の見出しがまた目に入る。
「緊急特集!自殺者達の手記 あなたも他人事ではない!」