その時アナウンスが響く。「人身事故の影響で、ダイヤが乱れご迷惑をおかけしております・・・」
近くの乗客が吐き捨てるように呟いた。
「飛び込みかよ、忙しいのによ。死ぬなら飛び降りとか首吊りとか、他に迷惑かけないで死ねっ!」
奈美は震えが止まらなかった。
何なの、なに!みんなあたしに言ってるの? もう狂いそう!
いやあああ!
降車駅に着くと、奈美は虚ろな目で歩いていた。駅前にあるニュース電光掲示板が、またも目に入る。
「自殺者三万人超える」
やめて!
やめて!
やめて!
ああああああ
駅からの帰路、奈美は全速力で走った。
その後を追うように、駅前のCD屋から「クライクライ走ってゆく!クライクライどこまーでも」という歌詞の人気アーティストの歌が聞こえてきた。
まるでそれは、走り去る奈美を、嘲笑っているかのように感じながら、奈美は背中で聞いた。
奈美は半分、正気を失いながら、人混みを駆け抜けた。
ああああああ
逃げられない!
私は何かに追われている!逃げられない、助けて助けて助けて助けて!