「ごめん。別れよう。」
7ヵ月前の夏休み、そう言って俺は自分から離れてしまった。ユキちゃんが「イヤだ」と言ってくれないかと少し期待していた。
俺は付き合い始めてからユキちゃんの俺に対する気持ちが日に日に冷めていってるような気がして怖かった。なんだか一人で舞い上がって一人で付き合ってるみたいな感じがしていた。
要はその不安から逃げたくて別れたようなもんだ。
でもユキちゃんに「わかった」と言われたときはすごくショックだった。やっぱりユキちゃんは俺といつ別れてもいいと思ってたんだと思い知らされた。
別れた後、何度も何度も後悔した。
夏休み中はよかったが、学校が始まるとクラスのやつらや原田エリからバッシングを受けまくった。
「フラれるのが怖かったから」なんて誰にも言えない。
俺はまた片想いに戻ってしまった。せっかく付き合えたのに自分から手を離してしまった。自業自得だ。
たまに廊下でユキちゃんを見かけても目を合わせないようにした。目が合うと思わず声をかけたいと思ってしまうからだ。
帰り道も少し後ろにユキちゃんが歩いてることに気づいているのに振り向けない。振り向いたところでどうしようもない。
一度廊下で紙ボールをぶつけてしまったが、あまりに突然だったから「ごめん」しか言葉が出なかった。
俺は別れた後もずーっとユキちゃんが好きだった。