shape 23

のん♯  2009-02-11投稿
閲覧数[120] 良い投票[0] 悪い投票[0]

――王子
初めてこんな気持ちになった。
今まで見た女性の中で1番美しく、魅力的な目をしていた。
彼女の目は悲しそうで、舞踏会の楽しい音楽には似ても似つかないような感じだった。
周りは、楽しそうに踊っているのに、彼女は何がそんなに悲しいのだろう。
初対面なのに、こんなにも気になってしまう。
あっ、彼女が帰ってしまう。話しかけなければ...。
『お待ちください。僕と1曲踊っていただけませんか??』
『えっ。あ、はい。』
彼女は、近くで見ると更に美しくて、見とれてしまった。
『突然声をかけてしまって、すいません。あなたは、舞踏会を楽しんでいないのですか??』
『いえ、楽しいです。でも、わたしの願いが...何でもありません。』
『願い??願いがどうしたんだ??』
『わたしは何も役に立たない、つまらない女です。どうかそんな女の言うことなど気にしないで下さい。』
『そうか。わたしは...いや俺は、あなたと一緒にいたい。俺は、あなたをつまらないと思いません。』
『もったいないお言葉です。わたしなんか...。』
『自分をそんなに悪く言わないで下さい。』
俺は、彼女を抱きしめた。
『12時の鐘が鳴ったら、帰らなくてはなりません。それまで、このままでいさせて下さい。』
『そんなに早く帰ってしまうのか。明日会えますか??あなたとゆっくり話がした...』
ゴーンゴーンゴーン
『あっ、帰らなくては...。すいません。』
彼女は、走りだした。俺は、彼女の名前を聞いていない。追いかけないと。
『お待ち下さい。俺と結婚して下さい。』
『帰らなくては!!』

彼女は、その言葉とガラスの靴を残して姿を消した。

次回→shape 23.5



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 のん♯ 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ