改札を出た。
1年繰り返している動作なので、無意識の内に定期券を、愛用しているブランドの財布に収めていた。
普段と同じ帰路をたどるので足は昨日と同じ方向に進む。
途中にあるマクドナルドやドトールに魅力を感じないのは毎日見慣れたせいだろう。
地上に続く階段を上る。
俺は
毎日名古屋駅から歩いて自宅へ帰っている。
地味な都会暮らしに満足しているが、日常化された生活に不満も抱いてる。
階段を上りきるや否や、路上禁煙地区にも関わらずピースの箱を握り、乾燥した唇にタバコをくわえさせる。
コンビニで買ったプラスチックのライターで火をつけてみた。しかし風が強くて、中々着かない。
手も痛い。寒さで体が丸まっている。
『チッ』舌打ちを入れる。
建物のくぼみに入り再度挑戦する。
『ボッ』、、軽く息を吸う。
タバコの先端は待っていたぞと言わんばかりに赤く働く。
もう一度家に向かい歩き始めた。
すると、
胸ポケットからバイブの感覚と友達からセンスの悪いと言われてしまった着うたが胸を通してから体全体に響きわたった。
携帯を開く。
メールだ。
親友のタダシからであった。
【飯いこーぜ】
俺達は、
夕方6時に名古屋駅構内にある恋人の待ち合わせスポットとして有名な時計台で待ち合わせをする事に決めた。
なんだかんだ家でくつろいでいると、待ち合わせ時刻30分前になっていた。
俺は用意を始めた。
お気にいるの黒いダウンジャケット、黒白のストライプのシャツ、ダークグレーの綿パン、茶色い靴をまとった。洋服には手を抜かないようにしている。
タダシも一緒だ。
用意が終わると待ち合わせ時間が過ぎていた。
めったに遅刻しないので、走って時計台に向かった。
しばらくまともな運動をしてないせいか、体が重く感じる。
『おいおい、誰の体だよ』息をきらしながら吐き捨てる。
タダシから電話が来た
『おい!今どこ?』
『セブンイレブンあたり』
『おせーよ』
『あと5分で行く』
『了か〜い!』
時計台に着いた。
セットした髪の毛が走ったせいでボサボサだ。
『じゃ行こか』タダシは俺をリードし、2人の気に入っているお好み焼き屋に向かった。