クラスの皆が僕を見てきた。それを無表情で見返す。
「あなた…名前は!?」
上条美咲が聞いてきた。僕は割りと素直に、
「僕は……黒李七草」
と答える。教室に蟻の様にたむろしている人達が、あんなヤツいたっけ…知らないわ………以外とイケてる顔じゃない…?とブツブツ言っている。
僕は当然気にしない。…気にしても意味がない。
上条が蟻を静かな顔で見ていたが、急にこっちを見て言った。
「そう。じゃあ七草ッ。」
…いきなり呼び捨てだ。
(別に良いけど…)
「…あなた何で私が話しているのに帰ろうとするの!それって失礼じゃない!?」
怒った様に細い眉毛を吊り上げ、僕のことを眼光強い目で見つめてくる。
…めんどくさい…。非常にめんどくさい…。僕は完全に無視して教室を出ようとした。
「!!!!……待ちなさいよッ何処へ行くのッ!?……あ、もしかしてあなたが無投票したのね?だから素直に謝る事が……」
僕はフッ…と頭が白くなる…。たぶんキレた。何故俺にかまってくるのだ…。ほっといてくれ。物凄い速さで振り向き上条の目の前へ歩いていく。
彼女が驚いた顔になった。俺は彼女の顔の10センチ前位まで近づく。そこで一言った…。
「黙れ、女。」
上条の顔が途端に冷める。俺はそこで一旦頭を停めると、おもいっきり睨めつけそこから立ち去った。
周りが騒がしい…。
彼女が悪い。俺は悪くない。しかたないんだ。俺は悪くない。
その時、俺の頬をかするように風を唸らせ『ヴンッ』と何かが飛んできた。
その何かは俺を通り越し教室の窓へ当たる。
『ベギィギィギィィィィ』
窓が悲鳴を上げ粉砕していく。俺はただ無表情でそのサマをみをろした。
後ろの方で物凄い圧力を感じる。
「次は当てるわよ!!…いいなさい今の言葉を訂正しなさいッ!!」
彼女が怒りをあらわにして叫んでいる。
「あなたは私の力の強さを知らないのかしらッ?よくもそんな言葉を言えたもんね!!さぁぶっ飛ばされなかったら速く……」
俺は小さな、でもよく聞こえる様にハッキリな声でいった。
「あんた誰だ?」
教室の中が氷を落とした様に冷めていく。
彼女は物凄くアホな顔をしていた。多分知らないとは思わなかったのだろう。
…僕はあきれてきて教室を出た。
…もう体の三分の二はでて来ている。だが顔はまだ見えない。