「お父さん、おばちゃん。謎々をしようよ」
海人は、驚いて妙子の顔を見た。すると妙子も驚いた様子だった。自分たち大人が、子供たちを楽しませなければならないに、空が一番大人だった。
海人は、目頭が熱くなるのを感じた。
「うん、そうだな」 空と早織は、学校で覚えた謎々を、次から次と出して来た。頭の硬い大人には、中々の難問ばかりで、車の中は、笑い声が絶えなかった。
出発して、2時間程が経ち、雑木林に囲まれた、キャンプ場が見えて来た。
色とりどりのテントが並び、奥の方には、6棟のコテージが有った。
「お父さん!あの奥の方に有るのが、コテージ?」
「そうだよ。何番目なのかな?」海人は、駐車場に車を停めると、管理棟へ向かった。
広場の中央には、キャンプファイア用の、やぐらが組まれ、周りの芝は、綺麗に刈られていた。3人が、車から荷物を下ろしていると、海人が戻って来た。
「5号棟だそうだ。みんなで手分けして、荷物を運ぼうか」
コテージの前まで来ると、家族連れや友人同士のグループが、バーベキューの準備をしていた。
「おばちゃん。うちは、何を食べるの?」
「お昼は、サンドイッチを作って来たから、それを食べて、夕方にバーベキューよ!」
4人は、建物の中を見学した。
「わあ〜、広い台所ね!」妙子は言うと、早織が浴室の扉を開けた。
「わっ、臭い!」
その声を聞いて、空もやって来て、匂いをかいだ。
「わっ、臭い!」空もそう言うと、2人とも鼻を押さえて、居間まで逃げて来た。
海人と妙子は、笑いながら浴室を覗いた。
「良い匂いじゃないか!この、ツ〜ンとくる匂いが、たまんないな!」すると妙子も言った。
「そうよね。2人とも、来てご覧。この匂いが『桧』の匂いよ!自然の森の匂いがしない?」
2人は口から手を離し、もう一度匂いをかいだ」
「ヤッパリ臭い!」
空がそう言って、笑いなから走り出すと、早織も笑いながら、追いかけた。4人とも、大笑いだった。
1階は、居間と台所の他、仕切りはないが、寝室にベッドが2つ並んでいた。
空と早織は、階段を上がり、手すりの間から手を振った。
「お父さん、2階にもベッドが二つあるよ!」
「さあ、お昼にしようよ。2人とも降りて来て!」
「は〜い」
妙子は、家で作って来た、サンドイッチをテーブルに並べ始めた。