SLOW LOVE(32)

フラン子  2009-02-12投稿
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卒業式の前の夜、俺は「明日ユキちゃんに話しかけてみよう。それから写真も一緒に撮ってもらおう。」と決心した。

二人の間にかつて付き合っていた期間があった証明にしたかった。

それだけなのに、俺は今なんて言った?

「ちゃんと俺のこと好きだった?」なんて質問をしてしまった。

ユキちゃんは案の定固まっている。困らせてしまった。

俺はもう何も考えられなくて、ただ久しぶりに目の前にいるユキちゃんを見た。

とても長い時間の沈黙を破ったのは意外にもユキちゃんだった。

「…私…ちゃんと…好きだったよ。」

震えた声で今にも泣きだしそうな顔をしている。

「…でもうまく付き合えなかった。自分があんなに臆病で、嫉妬心が強くて弱い人間なんて知らなくて。でもどんどんマサノブ君のこと好きになっていって…こんな自分を知られて嫌われるのが怖かった。…結局フラれちゃったけど…」

ユキちゃんの目には涙が溜まっている。それが流れそうになると制服の袖で顔を隠してしまった。肩を小さくして泣いている。

俺は思わずその小さな肩に手をかけた。ユキちゃんは一瞬ビクッとなった。



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