「…もう一回」
そう言ってユキちゃんの肩に手をおいた。
心臓がドキドキしてる。
少し冷たい風がベランダに吹いている。
「ユ、ユキちゃん。目閉じて。」
「あ、そっか…」
伏せられた睫毛が長くてドキドキした。
ユキちゃんの唇の位置を確かめて俺も目を閉じた。
やわらかな感触がした。
時間が止まったみたいだ。
ゆっくり唇を離すと、ユキちゃんがゆっくり目を開けた。
やっと俺たちは気持ちが一つになった。
初めての恋は自分のことで頭いっぱいになって不安だけが増えていく。
ユキちゃんもそうだったんだ。
そういうお互いの不安や不満をひっくるめて全部受け入れたときに両想いになるんだ。
「俺たち順番とかバラバラだったね。」
「これが私たちのペースだからいいの。」
そうだ。これが俺たちのペースなんだ。
これからゆっくりゆっくり愛を育んでいくんだ。
何ていったって『学校一のほのぼのカップル』だからね。
俺たちは笑って、またキスをした。
FIN.