「碧くん!」
ゆりの声で現実に引き戻された。
「何考えてたの?ちゃんと集中してよー」
…また問題集と向き合ってる。
どーしてそこまで勉強をするのかが、理解出来ない。
“成績を上げたいから”と言われれば、それまでなのだが。
「ねぇ、碧くん。この問題どーやるか解る?」
「んー?これはー…Xをー…どーすんだ?」
「碧くーん。やばいんじゃない?これ、1年の問題だよ?」
「んーと…」
やばい。とてつもなくやばい。
…1年の問題ってこんな難しかったっけ?
これだから勉強は嫌なんだよねー。
「よし!」
「…どーした?」
「碧くんが次のテストで、50番以内に入ったら、ゆりがなんでも言う事聞いてあげる!」
「……は?」
正直、ビックリした。
“なんでも”
なんて言われると
頑張る気にもなるが、
今の俺の頭で50番は絶対無理な事である。
「…それでも勉強しない?」
「………………する」
やっぱり彼女の上目遣いには勝てない。
………勉強するか。