「お待たせ」
「そんな待ってないよ」恵子は真夏なのに涼しげな顔をしてる。
「狭いけどうちに、、」躊躇いがちに古賀は言った。
恵子はうんと頷いた。
二人でアパートまで少し照れながら歩いた。
アパートに付くと古賀は狭いけど上がってと初めて女性を招きいれた。それも恵子である。
恵子は靴を揃えて古賀の部屋に上がった。
「へえ、すごいレコードの数だね」と部屋を見るなり言った。
古賀は恵子に麦茶しかないけどと冷蔵庫から取り出した。
「気を使わなくても。それよりか何か聞かせてよ」
古賀は考えた末にキャロルキングの『つづれおり』をレコードプレイヤーに置いた。
この時古賀と恵子は男女の関係になった。バックではキャロルの『去りゆく恋人』が流れていた。