ピィイー!!
タイマーの音が場内に響く。
「それまで!!」
審判の一言で試合が終わる。
審判の手が翔星のほうにあがる。
互いに礼をし、両選手ともが下がった。
今のところお互い、いい試合をしているがわずかに翔星のほうが実力が上のようだ。
次鋒戦まで終わって、2-0で翔星がリードしている。次の中堅戦で翔星の選手が勝った時点で翔星の勝ちが決まる。
団体戦ではメンバーの配置も重要になる。
両チームとも、先鋒、次鋒戦で、個人戦で全国に出場したことのある選手を起用していた。
にもかかわらず接戦であることを考えると、どちらもはじめで勝ち数を稼ぐ、先行逃げ切り型の布陣だろう。
となれば、次の中堅戦はチームのトップ格が出てくるだろう。
修二がいろいろと思索を巡らせているうちに中堅が出てきた。
「お願いしゃあす!!」
「はじめぇ!!」
中堅戦が始まった。
この後起こったことに会場にいるほとんどの人間が驚いただろう。
秋沢の中堅は去年の新人大会、100キロ以下級で県優勝を果たした選手。
対する翔星の中堅はたしかに結果は残しているが、階級は73キロ以下級と、秋沢とは20キロ以上の差がある。
その上、翔星の中堅は二年だ。
秋沢の中堅は三年で、トップ校で鍛えられた年月も1年違う。
バアァン!!!
場内に地響きが起こった。
タイマーは開始14秒を指していた。
14秒。
たったの14秒で翔星の選手は背負い投げで勝ってしまった。