霊安室に瑞輝はいた。
『…瑞…輝』
瑞輝の顔に被せてあった白い布を
とった。
瑞輝の顔は優しい顔をしていた。
いつも太陽に照らされていた。
少し焼けた肌は白かった。
また涙が…
さっきまでサッカーボール
持って騒いでいたのに…
また明日って言ったじゃん…
唯一、誕生日を祝ってくれた『親友』
ありがとうって言ってやりたい…
―僕の誕生日に瑞輝は空に。
でも僕はまだそこに行けない。
だから、一枚の画用紙いっぱいに
君を書き続けている。
―――――今、夏。15歳。
『…だから今日は特別な日なんだ』
『…友情ってすごいね』
『うん』
『誕生日おめでとう!』
『え?』
『今度は私が佳君の誕生日祝ってあげる』
『…ありがとう』
『でも親友じゃなくて、恋人としてね』
『えぇっ!何言ってんの〜』
『やだ?』
『ううん、違うよびっくりしただけ』
『じゃあよろしくね♪』
『うん』
僕は今まで君を描き続けてきた。
でもそれは今日でおしまい。
そんなことずっとしてたら
時が止まったままだ。
だからこれからは新しい君を
書き続けるね。
*おしまい*