悲しい時は、傘をさします。
私の大好きな、赤い傘。
悲しいことが多すぎて、赤い傘から雫が落ちます。
真っ赤な、温かい雫が、次から次へと溢れます。
何故こんなにも悲しいのでしょう。
何故悲しいことはなくならないのでしょう。
私は泣きたい。
けれども私の瞳は渇いてしまって、透明な一滴の涙さえ流れてはくれないのです。
だから私は傘をさします。
傘をさす時、私は泣いているのです。
抑えようのない悲しみに身を浸して、必死にあがいているのです。
そうしてその悲しみをあなたに理解して欲しくて、今あなたをさすのです。
私の大好きな、この赤い傘で。