今でも思い出す、みるく飴の味…
私がもっと素直だったら、と後悔した事、今ではもうあたなには届かない…
春になり、私は新しい制服を着て、桜並木道を歩いていた。
幼くみえた友達が、急に大人に見えた中学の入学式。
私は、煌めくような希望で満ち溢れていた。
中学生活も慣れてきた頃、私のクラスに転校生が来ることになった。
クラス中は転校生が来ると大騒ぎで、どんな子がくるのかと楽しみだった。
数日後、担任の先生が緊張した顔で、転校生を教室に呼んだ。
その転校生を皆の前に連れていき、黒板に名前を書かせていた。
名前は…『霧谷しずく』
小さな華奢な体に、色白の大きな目…
そして、右腕がなかった。