「ちゃんと全部運んだの〜?」
「うん、後は片すだけ〜♪」
由美は帰ってきていた。
昔の家に…
せっせと荷物を運び、悩みながら物の配置に工夫を凝らしている。
「早く散歩したいなぁ〜☆」
鼻唄まじりに呟く。
ずっと、住んでた街に帰ってきたのだ。上機嫌にもなるだろう。
由美の横顔が夕日に照らされ紅く染まる。
どことなく昔の面影はあるものの、垢も抜け、大人っぽく成長していた。
そして、転入先はとしかずのいる高校。
「ナルミ?」
「…寝ちゃったのか?」
としかずはまだ寝ているナルミの寝顔を見て、幸せに浸っていた…。