――セバスチャン
この世界には、魔法界(略:魔界)と人間界が存在する。
フィンがいるのは、魔界であり、わたくしやハミール王子がいるのは、人間界である。
遠い昔、魔界と人間界はひとつの世界だった。
その世界には、人間も魔法使いも住んでいて、皆とても仲がよかった。
ある時、ウォンという魔法使いが人間の女性を好きになってしまった。
その女性は、神の妻『ヘラ』という存在で、一生独身でなければならなかった。
ウォンは、そのことを分かってはいても自分の気持ちを抑えることが出来なかった。
ヘラは、ウォンの存在に気付いていた。神の妻として一生交えてはいけないと思って見て見ぬふりをしていた。
だが、日に日にウォンの気持ちは強くなっていき、ヘラの気持ちを変えていった。
ウォンとヘラが、この世界から逃げ出して新しい世界でへ行こうとした。
そんなことは、上手くいくはずがなく、神が怒った。
『ヘラよ。お前は、神との誓いをやぶり、男と交わった。この罪は、重い。よって、ウォンとヘラは一生会うことのできない世界に引き離す。』
こうして、魔界と人間界ができた。
でも、ウォンとヘラは、あきらめることができなかった。
ヘラは、知恵の神アテナのところに行き、ウォンと会うためならばなんでもする、と言った。
するとアテナは
『神との誓いをやぶった罪は、重いがお前の愛は、それ以上に強い。その愛と引き換えに、この石をやろう。石の色が薄くなっていくごとに、愛が強くなる。愛が無くなっても、絆で石の色を変えてみせろ。そうすれば、お前たちは永遠に別れることはない。期限は、5年。互いの世界を行き来出来るのは、3回まで。石の色が透明になったら、愛は真実のものとなり、何度でも互いの世界を行き来することが出来る。もし、5年だっても石の色が透明にならなかったら、永久に会うことが出来ない。さぁ、お前はどうする??』
『わたしとウォンの愛は、真実です。わたしの愛と石を交換します。』
次回→shape 30