それから暫く、声は接触もしてこなかった。気付かなかっただけでもしかしたら影からこちらを伺っていたのかもしれない。何だったのだろうと考えることもなく、声の事はリズのなかから消えた。
果てに繋がる道は、歌のとおり忘れられた島の唯一の痕跡だ。もっとも、この道がそうやって出来たものだと理解する者はこの世にリズのみだ。
あの歌の続きを聴いて、リズはかなり動揺していた。糸に引かれて走る、島を追い求める者。
「そんな物好き、私以外いないわよ…」
自嘲気味に言って、目の前の国に入った。人の創造物の破壊による成れの果てへ…。