「………。」
「気が付いたか?」
目覚めたフォーの側に居たのは驚いたことにランスォールだっだ。
「うなされてたみたいだぜ?」
「夢を…見ていた。」
「夢?」
「昔の夢さ。」
そう言ってフォーは少し寂しそうに笑った。
まるで、自分自身を嘲笑うかのように。
「逃げたんだ。
弟からも、シーラからも。
最低だな、俺は。」
「いいんじゃないか?逃げても。」
フォーにとって予想外だったランスォールのそれにフォーは驚きを隠せない。
「え……。」
「誰にだって向き合いたくないものがあるさ。」
端からみればなんと異様な光景だったろう。
たかだか十代の少年に36のオヤジが慰められているのだから。
「逃げて逃げて、そのあとどうするかだと思うぜ。
…俺も、な。」
その時、シーラが入ってきた為にフォーがランスォールに訊ねるのはまた別の機会になった。
「あら、フォー。
気が付いた?」
「あ、ああ…。」
フォーはシーラと目を合わせる事ができず言葉を濁した。
「…ふぅ、何か話したい事でもあるのかな?
ランス、悪いんだけど少し席を外してくれる?」