『奈央!!大丈夫?!立てる?!』
『うん。大丈夫‥‥じゃないみたい。』
『つかまって。保健室行こッ。』
ユカに手を貸してもらいながら、何とか立ち上がるコトが出来たあたしは、
ユカに支えられながら立ち、聖人の走る姿を見ていた。
“すげっっ!!おいみんな見てみろよ!!北岡のヤツ。片っ端から抜きやがるゼ!!”
“マジかよ、おい!!なまら早ぇじゃん!!アイツ、あんなに足速かったのか?!”
“陸上部でもいねーよ、あんなに速いヤツ。”
“おい!!ついに2位まで上がったゼ。あと1人だ!!”
みんな、
聖人の姿に目を奪われていた。
全校生徒の目が釘付けだった。
『奈央‥‥。聖人すごいよ‥‥。アイツ‥‥心臓弱いのに。』
『‥‥‥。』
ユカの言葉に、
あたしは何も返せなかった。
聖人。
来てくれてたんだ。
あたしの為に、
走ってくれてる。
あたしの為に‥‥‥。
“北岡―――!!
あと1人だ!!抜け―――!!”
“お、おい、マジで抜くんじゃね?!”
夢を見ているみたいだった――
目の前の、この光景が――
あなたの、走る姿が――
とてもまぶしくて――
“キャーッ!!北岡が最後の1人を抜くわよ!!”
“北岡行け――!!”
あと、数メートルでアンカーにバトンタッチ。
聖人!!頑張って!!
神様っっ――
『奈央!!見て!!』
『う、うんっっ。』
アンカーにバトンを渡す、数メートル手前で、
聖人は最後の1人を抜いた――
『アンカー!!頼むゼ!!絶対1位だからな!!』
すごい‥‥。聖人。
あたしが抜かれた5人全員抜き返しちゃったよ。
“キャー!!北岡君〜〜〜♪”
“ア、アイツ‥‥や‥やりやがった‥‥。”
“とても人間わざとは思えねぇ!!”
“すげぇ!!北岡、アイツは、すげ―よ!!”
赤組の仲間達が口々に聖人のコトを褒めたたえた。
赤組だけじゃなくて、
他のチームの者も、みな、聖人に注目していた。