「今日も退屈だ・・・」
ぼくはまどからランドセルを背負って楽しそうにしている子供達の帰る姿をまどからみながら退屈している。
「今日もやることなんにもないな・・・」
ぼくはそう思いながら退屈している。
大学に去年なんとなく合格して、なんの目標もなしにやってきたせいか大学で友達に会ってキャンパスを歩くかわいい女の子を見つけてはくだらない話で盛り上がる。
「昨日なんで飲みに行ったのにおまえいないんだよ」
「昨日はバイト休みだったんだよ、家でレポートしてた」
ぼくは家でレポートをしてたんじゃなく、ただ退屈していただけだ。
「いやぁおまえのバイト先にかわいい人がいたからさぁ、気になったんだよね」
きっと、あの人のことだと僕は思った。
「ちょっと、おまえの力で紹介してくれよ。頼む!これは一目惚れってやつだ!」
ぼくはこういう人間が苦手だ。
「いやだよ、めんどくさいからまた飲みにきて自分でどうにかしてくれ」
「ケチくせぇな、もったいぶんなよ大学なんて今しかないゆとりを存分に楽しむためにあるんだぞ」
大学生活を力説しているこいつをみていると苛々してしまう。
「おまえみたいなやつにあの人は紹介できないし、彼氏もいるよ、きっと」
ぼくのバイト先は大学近くの居酒屋で学生がよく利用するせいかその人はよく客に絡まれている。
年上で大学四年生の教育学部の先輩でいかにも男に好かれそうな外見をしている。
いつもバイトが同じ日になると話かけてくれるがぼくは少し照れくさいのかうまく話が盛り上がらない。
バイトからアパートに帰りのんびりしているとあの人のことを思い出している。
「今日はバイトまで何してたの??」
「家でネットしてましたね」
「へぇーそうなんだ、楽しそうだね」
「私もネットしてたよ、夏休み友達とどこいこうか考えてた」
「そうですか、大学最後の夏休みだからたくさん思い出つくらないといけないですもんね」
そんな話をしたのを思い出しながら、ぼくは彼女を好きになっていたことに気づいた。