ピピピッ
「ふわぁー…。」
ケースケは目覚まし時計の電子音で起きた。
時刻は午前8時を指している。
「ん?ユミからメールが来てるな。あと1時間ぐらいか。なにしよ…。」
ケースケはむっくりと起き上がると、洗面台に行き顔を洗った。
そのあと、ちょっと熱めのお風呂にさっと入り眠気を覚ました。
ピンポーン
「ケースケ君!!起きてるー?迎えに来たよ。」
「ハハハ。相変わらずうるさいな。今行くよ。」
ガチャッ
「あれ?車には2人しかいないような気がするけど。」
…ガチャ
…バタン
「おぉー、ケースケ。久しぶりだな。元気だったか?」
ジュンが真っ先に話し掛けてきた。
運転席にはユミ、助手席にはジュンが座っている。ケースケは1人で後部座席に座った。
「あぁ、お陰様でな。ってかサエは?」
「いきなりバイトが入ったらしいよ。」と、ユミ。
「サエが来てたらあの日と同じドライブになってたのにな。」と、ジュン。
「もう、そんな昔のことは言わなくていいだろ。もしかして、それだけのために4人で行く計画だったのか?」
「違うよケースケ君。別にそんなわけじゃないんだけど、ちょっとした理由があるの。実はね…」
ユミが何かを言おうとするとジュンはそれを止めた。
「おい。別にそこまで言わなくてもいいだろ。聞きたくなくても昼ぐらいには分かることなんだから。」
「ジュン、どういうことだよ。」
「いや、なんでもねぇよ。忘れてくれ。あっ、あの綺麗な花はなんて名前だろう。」
道路沿いに一列に並んだ赤い花を指差してジュンは言った。
その花は真っ赤だったが、枯れ始めているのだろうか。少し黒くなっている部分もあった。
「ったく、一体何なんだよ。」