サンタの仮面を被る人 2

国部希  2009-02-21投稿
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 それは数時間前のこと。


「こんな日に、ごめんね」


 俺はなんの脈略もなく付き合っていた彼女にふられた。
 実に卑怯なふり方だった。

 あなたのことが嫌いだから、とか他に好きな人が出来たから、という方がまだあっさりしている。
 それなのに、彼女ときたら同意を求めるように、


「私たち、もう駄目だと思わない?」


 いや、思わない――そういって彼女を抱き締めたら、どうなっていただろう。

 しかし、それをすることは出来なかった。
 彼女の目があまりにも切なげで、それ以上近づけば、蜃気楼のようにふわりと消えてしまいそうだったのだ。

 ああ、そう。じゃあ。今思えば、そんな気の抜けた返事をした気がする。

 間違いないのは、その場から足早に立ち去った彼女を、いつまでも見つめていたことくらいだ。



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